2・11「建国記念の日」を問う広島集会

2018年2月11日

 2月12日(月)、広島カトリック会館多目的ホールで『「建国記念の日」を問う広島集会』が開かれました。今年は立教大学名誉教授で、「大島の静かな空を守る会」代表として、岩国基地問題に取り組んでこられた河井弘志(かわい ひろし)さんを招き、『岩国基地問題から日本の平和を考える ~「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」の活動から~』と題して講演していただきました。

 河井さんは最初に基地反対運動に加わっていった経緯について話されました。河井さんはかつて厚木基地の滑走路北から約1㎞の大和市に住まわれていた時期があり、騒音によるストレスから健康に不調をきたすという基地被害にあわれた経験を持っておられます。当時は転居することにより騒音被害を回避するという選択をされ、基地反対運動には加わっておられなかったそうですが、立教大学を退職され、山口県大島に帰郷された3年後(2005年)には、厚木基地から岩国基地へ艦載機57機が移転してくるという報道に接し、地元の老人クラブから大島町の静かな空を守る運動をはじめられました。岩国市議会の艦載機移駐反対決議(2005年6月)、住民投票により87%が移駐反対(2006年3月)などの盛り上がりとともに、「大島の静かな空を守る会」を結成(2006年7月)、さらには瀬戸内海沿岸の基地反対運動に取り組んでいる諸団体を結びつける「瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク」(2008年1月)を立ち上げ、各地域住民の反基地への思いを繋いでこられました。

 ところが、このような住民運動の盛り上がりにも関わらず、政府は、空母艦載機59機、空中空輸機12機の移転という在日米軍再編案に最終的に合意し(2006年5月2日)、岩国市には建設中の市庁舎への補助金35億円を全面カットするなどの圧力をかけてきました。こうした国の圧力には抗しきれず、在日米軍再編を容認する市長が当選すると、住民の中にも徐々に基地容認という空気が強くなっています。このような現状を見ると基地問題への取り組みがなかなか前進しているとは言い難いわけですが、集会開催、会報の発行など、大島の住民として静かな空を守る粘り強い取り組みを続けておられます。

 このような岩国基地反対運動の経過を報告された後、これからの進むべき方向性として次に示す7つの提言をされました。①沖縄・厚木・岩国基地での「騒音のたらい回し」から「基地縮小」へと考え方を変えていくこと ②「防衛は国の専管事項だから、地方自治体は意見をはさめない」という考え方を変更させること ③交付金依存から脱却し、自立経済を確立すること ④日米地位協定を改定すること ⑤日米安全保障条約により平和を維持するという考え方から「東アジア共同体」という考え方によって平和を作り出していくこと ⑥最後まで話し合いで解決しようとする外交を貫くこと ⑦日本国憲法の平和主義の理念を貫くこと の以上7つである。

 講演の後には、廿日市、沖縄などの基地問題に取り組む運動が報告されたり、憲法9条の重要性を訴えたりする意見など、講演の内容を補強する質疑応答になりました。カトリック、プロテスタント、一般市民ら約70名が参加し、今年も平和についての学習を進めることができました。

(文責 カトリック正義と平和広島協議会 神垣 栄)

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