聖堂案内シリーズその2


世界平和記念聖堂の内陣の正面の壁にあるモザイク

再臨のキリスト

解  説
 世界平和記念聖堂の内陣の正面の壁にはモザイクの「再臨のキリスト」像が描かれています。
 ほとんどの聖堂には十字架か復活者キリストの像が置かれていますので、この「再臨のキリスト」像は極めて稀のことです。しかし、「再臨のキリスト」こそ、世界平和記念聖堂に最もふさわしく、献堂の精神を強くアピールしているように思います。
 1945年8月6日、広島の街は人類史上最初の原子爆弾によって灰塵に帰しました。廃墟と化した広島の街に犠牲者の永遠の安息と恒久平和を祈願して聖堂が建立されました。
 「再臨」とは神が歴史に介入し、神の支配を確立し、救いを完成する時への希望にあふれた信仰です。それはメシアであるキリストによって実現されます。
 全被造界の歴史はたとえどんなに悲惨で不正に満ちていても、最終的終末に向かって、キリストの「再臨」の日に向かって進んで行きます。その日には「神は自ら人と共にいて、その神となり、彼らの目の涙をことごとく拭い取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである。」(ヨハネの黙示録21章3−4節)「見よ、私は万物を新しくする」(同21章5節)と宣言する「再臨のキリスト」はまるで世の終わりが到来したかのような未曾有体験をした広島の町の人々に未来への希望を与え、苦しみや悲しみを癒し、新たな勇気を燃え立たせ続けています。
 モザイク像は、当時の西ドイツアデナウアー首相から送られました。1962年完成。


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