聖堂案内シリーズその6


世界平和記念聖堂の正面扉(左側)






解  説

世界平和記念聖堂正面に向かって左側の扉には、ペリカンの親子の姿が浮き彫りにされています。親ペリカンは、鋭いくちばしで自分の胸をつついています。三匹の子どものペリカンは小さい口を大きく開いて食べ物を求めています。

このレリーフのイメージは、ペリカンは、自分の胸を引き裂き、その血を雛に飲ませて育てるという故事にのっとっています。そして、ペリカンは主イエス・キリストの血による贖い、十字架上の犠牲死の象徴となり、キリスト教芸術において、キリスト磔刑像の上部、聖櫃、聖体容器などに描かれたり、刻まれたりすることになりました。

最後の晩さんにおいて、主イエス・キリストは、ぶどう酒を自分の血であると宣言し、これを飲むようにと弟子に与えられました。
「皆、この杯から飲みなさい。これは罪が赦されるように、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である。」 (マタイによる福音書26章27・28節)

親鳥が自分の体を傷つけて流す血によって雛を育てるように、主イエスは十字架の上で自らの血を流すことによって、世界と全ての人々の罪を贖い、新しい生命を与えられたのです。

「わたしたちは、この御子において、その血によって贖われ、罪を赦されました。これは、髪の豊かなお恵みによるものです。」(エフェソの信徒への手紙1章7節)

「知っての通り、あなたがたが先祖伝来のむなしい生活から贖われたのは、金や銀の杯を果てるものにはよらず、きずや汚れのない子羊のようなキリストの尊い血によるものです。」
(ペトロの手紙−1章18〜19節)

ペリカンの親子のレリーフは、人類史上最初の原子爆弾によって犠牲となった人々の尊い血によって、戦争のない新しい世界、恒久平和を築き上げる新しい人類が誕生しなければならないという希望と新生のメッセージを投げかけています。

「キリストがわたしたちを愛して、ご自分を香りのよい供え物、つまり、いけにえとして私たちのために神に捧げてくださったように、あながたも愛によって歩みなさい。」
(エフェソの信徒への手紙5章2節)



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