聖堂案内シリーズその7


欄間彫刻(Part1)




解  説
世界平和記念聖堂正面の壁面には、極めてシンプルな十字架が掲げられ、下部には、欄間型格子があり、彫刻がはめ込まれています。
この聖堂設計の基本的なコンセプトとして、「優れた日本的性格を発揮すると共に戦後日本の新しい時代に応ずる提案」が望まれ、さらに明確に、(1)日本的性格を尊重すること
(2)健全なモダン・スタイルであること(3)宗教的印象を与えること(4)記念建築としての荘厳性をもつこと、が求められました。
聖堂正面の壁面は、要件を象徴的にそして充分に満たしていることを示しています。

欄間彫刻は、聖堂の外壁の素材として使われた「広島の土砂を日かげ干しして固めた灰色の煉瓦」の色と、無造作で素朴な仕上げの壁面と調和して、「抑制されたある種の華やかさ」を発揮するのに役立っています。
欄間という西洋の教会建築には見られない日本的なアイデアは、聖堂に、東洋的、寺院的雰囲気を漂わせることに貢献しています。
彫刻は、世界平和記念聖堂設計者村野藤吾の友人今井兼次によって構想され、彫刻家武石弘三郎によって模型が制作され、彫刻家円鍔勝三と坂上政克によって拡大、制作されました。
(後年日本を代表する彫刻家となる広島県御調町出身の円鍔が、聖堂建設に関わっていたことは驚きであり、若き日の作品を持つことを誇ってもよいことと思います。)
欄間彫刻が現場において制作されたのは、聖堂献堂式から2年後の1956年6月から8月にかけてでした。

*上記の解説は、「石丸紀興『世界平和記念聖堂』相模書房」を参考にしました。

彫刻は七つあり、テーマは「七つの秘跡」です。
  ・彫刻1は叙階の秘跡 ・彫刻2は洗礼の秘跡
  ・彫刻3は堅信の秘跡 ・彫刻4は聖体の秘跡
  ・彫刻5がゆるしの秘跡 ・彫刻6が結婚の秘跡
  ・彫刻7が病者の塗油  

七つの秘跡
「救いの普遍的秘跡」であるキリスト教の働きは、ことばとしるしによって行われ、その中心が洗礼・堅信・聖体・ゆるし・病者の塗油・叙階・結婚という七つの秘跡は、知覚できることばとしるしを通して行われ、目に見えない恵みを人々に与えます。秘跡はキリストによって制定され、復活のキリストとの出会いをもたらし、聖霊の働きによって、それぞれ固有の恵みを信じる者に与えられます。
*上記の解説は、「カトリック教会の教え」(カトリック中央協議会)P175から抜粋しました。



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