聖堂案内シリーズその15


ステンドグラス(ロザリオの祈り)

*□をクリックするとステンドクラスの写真がご覧いただけます。


解  説
 世界平和記念聖堂を訪れる人に荘厳な宗教的な印象を与え、祈りの雰囲気を醸し出すために重要な役割を果たしているのはステンドグラスです。
 簡素でシンプルな外観に比べて、聖堂の内部は、外部からの光を遮断し、かつ透過させるステンドグラスのもたらす効果によって、多彩で華やかな、しかし静謐で落ち着いた空間がつくりあげられています。
 聖堂の両側の側廊部の横窓の低い位置のステンドグラスには、「ロザリオの祈り」*注1 の三つの「神秘」、すなわち「喜びの神秘」、「苦しみの神秘」、「栄えの神秘」の15の場面が描かれています。
 「絵柄は太い鉛桟で描かれ、鮮やかな形が浮き上がっている。ステンドグラスの下方では、赤や青、黄などの原色や濃色を多用し、上方では色付きのガラスを抜いて、外部からの光を透過させようとしていることがわかる。」*注2
 
 
《喜びの神秘》
1.天使はイエスの誕生を告げる(受胎告知) (ルカ1・26〜38)(Photo01)
2.マリアはエリサベトを訪問される(ご訪問) (ルカ1・39〜56)(Photo02)
3.イエスはマリアからお生まれになる(ご降誕) (ルカ2・1〜7)(Photo03)
4.イエスは神殿にささげられる(主の奉献) (ルカ2・22〜38)(Photo04)
5.両親はイエスを神殿で見つける (ルカ2・41〜50)(Photo05)

《苦しみの神秘》
1.イエスはゲッセマネで苦しまれる (マルコ14・32〜42)(Photo06)
2.イエスは鞭で打たれる (ヨハネ19・1)(Photo07)
3.イエスは茨の冠をかぶせられる (ヨハネ19・2)(Photo08)
4.イエスは十字架を担って歩まれる (マルコ15・20〜27)(Photo09)
5.イエスは十字架の上で亡くなられる (マルコ15・33〜39)(Photo10)

《栄えの神秘》
1.イエスは死から復活される(ご復活) (マルコ16・1〜7)(Photo11)
2.イエスは父のもとに昇られる(ご昇天) (使徒言行録1・6〜11)(Photo12)
3.イエスは父のもとから聖霊を送られる(聖霊降臨) (使徒言行録2・1〜41)(Photo13)
4.マリア天にあげられる(マリアの被昇天)(Photo14)
5.マリアはイエスの栄光にあずかられる(天の元后)(Photo15)


*注1 「ロザリオの祈り」は、カトリック教会で古くから愛され親しまれてきた祈りです。
 「一連」は「主の祈り」1回、「聖母マリアへの祈り(天使祝詞)」10回、「栄唱」1回からなり、5連で「一環」となり、「神秘」を一つ黙想します。
 教皇ヨハネ・パウロ二世は、2002年10月16日、使徒的書簡「おとめマリアのロザリオ」を発表され、「ロザリオの祈り」の価値と意味を力強く説かれました。
 
 「確かにロザリオはマリアへの祈りという性格を持ってはいますが、核心においてはキリストを中心とした祈りです。それは、つつましい内容の中にも福音のメッセージ全体の深みを含んでいます。ですから、「(福音全体の)要約」と呼びうるものです。」(ヨハネ・パウロ二世使徒的書簡「おとめマリアのロザリオ」n.1)
 「すなわち、イエス・キリストの生涯のおもな出来事が、『聖母マリアへの祈り(天使祝詞)』のことばを背景として、魂の目の前で繰り広げられるのです。それらの出来事は、喜びの神秘、苦しみの神秘、栄えの神秘にまとめられており、これらの神秘が、いわばイエスの御母の心を通して、わたしたちをイエスとの生ける交わりへとあずからせるのです。」(同上 n.2)

そして、教皇ヨハネ・パウロ二世は、伝統的な祈りに新しく「光の神秘」を加えられました。
 「ロザリオをより十全な意味で『福音の要約』とするために、キリストの受肉と隠れた生活(喜びの神秘)を思い起こした後、そしてキリストの受難(苦しみの神秘)とその復活の栄光(栄えの神秘)について祈りをささげる前に、キリストの公生活のとくに重要な出来事(光の神秘)について黙想することを勧めたいと思います。」(同上 n.19)

《光の神秘》
1.イエスはヨルダン川で洗礼を受けられる (マタイ3・13〜17)
2.イエスはカナの婚礼でご自身の栄光を現わされる (ヨハネ2・1〜11)
3.イエスは回心を訴え、「神の国」の到来を宣言される (マルコ1・15)
4.イエスは神性を現わすために、弟子たちの前で変容される (マルコ9・2〜8)
5.イエスは聖体を制定される (マタイ26・26〜29)

*注2 石丸紀興著「世界平和記念聖堂  広島にみる村野藤吾の建築」相模書房 187頁



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