聖堂案内シリーズその18


鳳凰像



解  説
 世界平和記念聖堂の内陣ドームの頂には、今にも天空に飛翔するかのような鳳凰(フェニックス)の像があります。
 
 「(鳳凰は)地球儀を模した球の上に設置された。鳳凰は、挑みかかるように羽根を半開きにして西を向き、尾羽根が刃物のように鋭く逆立って、近くでみると、相当な迫力があった。」(1)

 着工当初は、十字架を載せる予定でしたが、設計者村野藤吾氏の考えで鳳凰になったそうです。記念聖堂の竣工が近づいた段階で、現場の関係者の工夫と協力により、宇治の平等院の鳳凰を参考にして高さ八尺五寸(約2.58メートル)の像が制作されました。(2)

 鳳凰像によって、伝統的な西欧の教会建築にない日本的な雰囲気と風趣がただようことになりました。

 鳳凰(フェニックス)は、復活の象徴でもあり、一発の原子爆弾により廃墟となった広島の街が、美しく復興し発展したことをイメージしているのでしょうか。


 (1)「世界平和記念聖堂  広島にみる村野藤吾の建築」石丸紀興、相模書房、166頁
 (2)同上 148頁、149頁

「鳳凰」
  古来中国で、麒麟・亀・竜と共に四瑞として尊ばれた想像上の瑞鳥。形は前は麒麟、後は鹿、頸は蛇、尾は魚、背は亀、顎は燕、嘴は鶏に似、五色絢爛、声は五音にあたり、梧桐に宿り、竹実を食い、れい泉を飲むといい、聖徳の天子の兆として現れると伝え、雄を鳳、雌を凰という。(新村 出編「広辞苑」第五版 岩波書店)

「フェニックス」
  エジプトの伝説的な霊鳥。アラビアの砂漠にすみ、五百年生きると、その巣に火をつけて焼け死んだのち、生れ変るという。不死永生の象徴。( 同上 )

Phoenix
mythical bird which, after living hundreds of years in the Arabian desert, burnt
itself on a funeral pile and rose from the ashes young again, to live for another cycle. 
(THE ADVANCED LEARNER’S DICTIONARY OF CURRENT ENGRISH, KAITAKUSYA)



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