聖堂案内シリーズその20


小聖堂(聖母祭壇)

 

 


解  説

 10月7日は、ロザリオの聖母の祝日です。(1)
 昨年の10月から始まった「聖体の年」が今月で終ります。
 今回は、「聖体」が安置されている小聖堂(聖母祭壇)を紹介します。

 世界平和記念聖堂の外陣の後方には、聖堂の右側に突き出ている小空間に、洗礼盤が据えられている洗礼室があり、左側の鐘塔の下部に位置する小空間には小聖堂があります。

 小聖堂は、より親愛の情をこめて「聖母祭壇」と呼ばれています。
 金色と淡いブルーに彩られたモザイクの聖母像が、壁に掲げられているからです。
 像はどちらかといえば抽象的ですが、かえってイメージをふくらませてそれぞれの聖母を想い描くことができます。

 献堂当時は中央祭壇に置かれていた「聖体」の安置所が、現在は「聖母祭壇」に移されています。「聖母祭壇」は「聖体」の礼拝堂(チャペル)でもあるのです。
 「聖体」が安置されている聖櫃の近くには、聖体ランプが常時点灯され、イエス・キリストが現存されていることを示しています。

 「聖母祭壇」は、世界平和記念聖堂のもっとも聖なる祈りの空間です。

 「聖体」の形態のうちに現存しておられるキリストに礼拝をささげ、感謝の表現であり愛のしるしである聖体訪問は、イエス・キリストに出会う優れた方法であり、大きな力と慰めと支えを受けることができます。(2)
 「疲れた者、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう。」(マタイ11・28)と招かれる「聖体」のキリストに祈ります。
 「聖母祭壇」で、「ご保護によりすがって御助けを求め、あなたの御取次ぎを願う者が、かつて誰ひとり棄てられた者のないことを思い出してください」(聖ベルナルド)とキリストの母マリアの取次ぎを願います。

(1)この記念日は、1571年のレパントの海戦でキリスト教徒がオスマン・トルコに対して勝利を収めたことを記念して、ピオ五世教皇によって定められた。この勝利は、ロザリオの祈りによってもたらされた聖母の助けによるものであると信じられていた。きょうの祝日は、神の子の受肉、受難、復活に特別に結ばれたマリアに導かれて、キリストの秘義について黙想するよう励ましている。(『毎日の読書』より)

(2)「キリストとともに時を過ごし、キリストが愛しておられた弟子のようにキリストの胸元に寄りかかり(ヨハネ13・25参照)、キリストのみ心にある限りない愛を感じるのは、心地よいことです。もし現代のキリスト者が何よりもまず『祈り方』においてすぐれていなければならないなら、聖体のうちに現存するキリストのみ前で、しばしのあいだ、キリストと霊的に語らい、沈黙のうちにキリストを礼拝し、心からの愛を表す必要があらてめてあることを、どうして感じずにいられるでしょうか。」(教皇ヨハネ・パウロ二世回勅「教会にいのちを与える聖体」カトリック中央協議会 36頁)



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