平和の使徒推進室室長の部屋
「世界平和の日」

  頌春の仰ぎて高き聖なる塔      吉崎晴女

 あけましておめでとうございます。
 新しい年が、世界のすべての人々が幸せを感じることができる年となりますよう、神の豊かな恵みと祝福を祈ります。

 平和の使徒推進室の窓から、昨年献堂50周年を祝った世界平和記念聖堂の塔の偉容が眺められます。壁面に刻まれた聖堂記には、「(原爆)犠牲者の永遠の安息と人類相互の恒久平和のために」祈る使命が記されています。

 年末から年始にかけて、世界平和記念聖堂では、熱く敬虔な祈りがささげられました。

 12月31日(金)、2004年の最後の日には、献堂50周年の閉幕の祈りの集いが開かれました。  
  午後10時45分から1時間「聖体の年」を意識しながら、祭壇に聖体を安置し、賛美の歌を歌い、また沈黙のうちに祈りました。
 この記念すべき一年を広島教区が、「こころを一つにして平和を宣べ伝えよう」という目標を掲げて歩んだことを思い起こし、これからの働きの力とすることを誓いました。
 日付が変って年が改まった2005年1月1日(土)午前0時から新年のミサがささげられました。
 午前11時から、「世界平和の日」にあたって今年最初の「平和祈願ミサ」が広島教区長三末司教の司式によってささげられました。三末司教は説教で、教皇ヨハネ・パウロ二世の2005年「世界平和の日」メッセージについて解説されました。

 現代のカトリック教会は、1月1日を「世界平和の日」という祈願日として祝います。
 1968年1月1日、教皇パウロ六世は、ベトナム戦争が激化する中、「新年の最初の日に、全世界で『平和の日』を催すことを、すべての善意の人々に呼びかける」というメッセージを送られました。
 それ以来、全世界のカトリック教会は、1月1日を「世界平和の日」とし、戦争や紛争、分裂や憎しみ、搾取や飢餓などのない平和な世界が来るようにと祈ります。
 教皇パウロ六世の意思を継承して、教皇ヨハネ・パウロ二世も毎年「平和メッセージ」を発表されます。
 「平和メッセージ」は、真の平和の意味、平和の条件、平和に対しての義務と責任などについて論じています。
 今年の「平和メッセージ」のテーマは、「悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい」です。
 平和な世界の実現に向かって、カトリック信者として責任を果たしていくための力強いメッセージが散りばめられています。

 「平和という善に至るためには、暴力は絶対に受け入れることのできない悪であり、決して問題解決にはならないことを、はっきりと自覚し、認めなければなりません。」

 「人種差別への非難、少数民族の保護、追放された人びとと難民たちへの救援対策、そしてすべての困窮している人びとに向けられた国際的な連帯の動きは、世界市民という考え方の原則を矛盾することなく、適応したものなのです。」

 「今日、今までにもまして、世界に平和をもたらすための決定的条件とは、富める国と貧しい国の相互依存を認めることです。」

 スマトラ沖大地震による津波は、大勢の外国人観光客にも死者がでました。
 ヨーロッパからの犠牲者は23カ国で4千から6千人に達すると予想され、地球の反対側で起きた大災害も自国の惨事になりかねない現実が明らかになりました。身近になった悲劇に対する募金は史上最高額になりそうだといわれ、欧州合同の救援チームの構想もあるそうです。
 未曾有の不幸な災害ですが、地球規模の援助体制が築きあげられるのは、「平和メッセージ」の語る「国際的な連帯」、「世界市民」、「相互依存」が真実であることを示しているようです。

 「キリスト者はこの真実の確信に満ちた証人でなければなりません。彼らは、自らの生活によって、愛だけが人間と社会の完成をもたらし、また歴史の辿る道を善と平和に導くことのできる唯一の力であることを示す義務があるのです。」

 今年は、戦争が終わって60年。広島、長崎にとっては被爆60周年の年です。
 世界平和記念聖堂の傍らで暮らすものとして、少なくとも、毎日「平和を祈る」使命を全うすることを年頭の誓いとします。

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