平和の使徒推進室室長の部屋

伝え続けよう 私たちが  ―真理・正義・慈愛―


 この度、世界平和記念聖堂と広島平和記念資料館(原爆資料館)が、国の重要文化財に指定されることが決まりました。
 二つの建築は、戦後の建築としては初めての指定を受けるものであり、「東の丹下、西の村野」と称された、日本の戦後の建築界を代表する、丹下健三氏と村野藤吾氏の設計によるものであることが、話題を呼んでいます。
 今回二つの建築が同時に重要文化財になることを、もっと重大な意味を持つものとして受けとめたいと思います。
 「平和記念」ということばが、両建築に含まれています。
 61年前、史上初めて原爆を投下された都市広島が、廃墟(グラウンド・ゼロ)から立ち上がる、象徴的存在でした。そして、全世界にむかって「ノーモア.ヒロシマ」、核廃絶と恒久平和のメッセージを発信する拠点でもありました。

 カトリック広島司教区は、毎年8月5日、6日に「世界平和記念聖堂」を中心にして平和行事を継続してきました。今年も準備が進められていますが、テーマは「伝え続けよう 私たちが ―真理・正義・慈愛―」と決まりました。これは自らも被爆し「世界平和記念聖堂」の建立を志したドイツ人宣教師フーゴ・ラサール神父(広島市名誉市民 1898~1990)の熱い願いがこめられた「聖堂記」からとられたものです。※

 「世界平和記念聖堂」を、25年前に訪問された前教皇ヨハネ・パウロ二世は、「ヒロシマを考えることは、平和に対しての責任を担うことです」と語られました。英語では
To remember Hiroshima is to commit oneself to peace となっています。
 To commit oneself が「責任をになうこと」と翻訳されていますが、もっと積極的なニュアンスがあります。文字通り「コミット」する、より具体的に関わっていく、行動を起こすという呼びかけです。
 「ヒロシマを考えるということは、平和を実現するために具体的に行動すること」とでも訳したいと思います。

 「世界平和記念聖堂」が国の重要文化財の指定をうけることが、この聖堂が建立された本来の目的と使命を再確認し、世界平和のために祈りをささげ、実践に取り組む拠点として存在していく絶好機となることを願ってやみません。

※世界平和記念聖堂 聖堂記
 此の聖堂は、昭和20年8月6日広島に投下されたる世界最初の原子爆弾の犠牲となりし人々の追憶と慰霊のために、また万国民の友愛と平和のしるしとしてここに建てられたり。
 而して此の聖堂によりで恒に伝へらるべきものは虚偽に非ずして真実、権力に非ずして正義、憎悪に非ずして慈愛、即ち人類に平和をもたらす神への道たるべし。故に此の聖堂に来り拝するすべての人々は、逝ける犠牲者の永遠の安息と人類相互の恒久の平安とのために祈られんことを。
昭和29年8月6日
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