「性虐待被害者のための祈りと償いの日」に寄せて 広島教区における取り組みについて

主の復活をふさわしく祝う準備期間である四旬節が、今年は2月26日(灰の水曜日)から始まりました。教皇フランシスコは、教会の聖職者による性的虐待、とくに未成年者に対する性的虐待の問題に誠実に対応して行くため、四旬節中に「性的虐待被害者のための祈りと償いの日」を設定することを望まれました。

これに呼応して日本カトリック司教団はメッセージを発表し(2016年12月14日)、毎年、四旬節第二金曜日(今年は3月13日)を「性的虐待被害者のための祈りと償いの日」とすることを決定しました。そして、各教区の司教の呼びかけに従って、「祈りと償いの日」(あるいは前後の日)に合わせて、教会共同体として祈りと償いをささげ、同時に、被害者の痛みを学ぶ機会を作るように指示しました。

広島教区においては、教区内で働くすべての司祭が、四旬節第二金曜日(もしそれが困難な場合は前後の日)に、性的虐待被害者のための意向をもって、ミサをおささげするようにします。また、四旬節第二金曜日のミサ、あるいは教会の祈りの共同祈願において(以下の例文等を用いるか、自由な言葉で)、特別な祈りをささげるようにします。そして、聖職者・修道者・信者が話し合いをして、同じ意向のために、とくに四旬節中に、例えば、愛のわざ(犠牲)に励み、聖体礼拝、十字架の道行、ロザリオの祈りなどをささげ、ハラスメント防止や被害者の救済に関する勉強会等を実施するように呼びかけます。

共同祈願の意向(例文)
①教会の聖職者によって引きこされたハラスメントによる被害者の方々が、その
苦痛の声を自由に発し、その傷が癒され、必要な支援の手が、一日も早く差し       伸べられますように。
②種々のハラスメントによって傷つけられている方々が、その痛みと苦しみから
解放され、そのために必要な支援を受けることができますように。

広島教区の聖職者(司教・司祭・助祭)は、自分たちの置かれた立場を弁えて、率先してハラスメントの防止に努めていく決意を新たにする一つの手段として、司祭研修会や地区の司祭の集いの機会に話し合い、共同で以下の宣言文を作成しました。

広島教区の聖職者(司教・司祭・助祭)
ハラスメント防止の決意文(2020年3月)

聖書は、すべての人間が神から命を与えられたかけがえのない存在であり、その似姿として創造されたものであることを教えています。また、人となられた主イエスは、いつも言葉と態度をもって、小さくされた者、貧しい者に寄り添う神の愛といつくしみを示し、ご自分の使命を継続する教会にも、同じまなざしと対応を求めておられます。

一人ひとりの人間がもつ尊厳は神に由来し、誰からも傷つけられたり、踏みにじられたりすることがあってはならないものです。しかしながら、わたしたち聖職者にも、他者の尊厳を傷つけ、心身ともに深い傷を負わせる種々のハラスメントの事例があったことを率直に認め、反省し、償いを伴う改心をもって、心からゆるしを願います。

教会の聖職者として自分たちの置かれた立場をわきまえつつ、無意識のうちに種々のハラスメントを引き起こしてしまいがちな自分たちの傾向にも注意を払い、それを防止する決意を新たにします。

今後、広島教区の聖職者(司教・司祭・助祭)は、修道者・信徒ともこの意識を共有し、教会共同体として、ともにハラスメントを防止する努力を惜しまない所存です。
もし、広島教区の聖職者(司教・司祭・助祭)によるハラスメント被害の事例が生じた場合には、下記の担当デスクに報告していただけますように、お願い申し上げます。

広島教区「子どもと女性の人権擁護デスク」
082-221-6613 あるいは 080-9795-3676
 デスクの対応時間:いずれの番号も月曜日から金曜日(水曜日を除く)
9:30~12:00 13:00~17:00

郵送の場合 〒730-0016 広島市中区幟町4-42 広島カトリック会館 
広島教区「子どもと女性の人権擁護デスク」宛

広島教区として、皆様から寄せられる報告・相談に対しては、必要とされる守秘義務を尊重しながら、被害者救済に向けて、真摯に取り組んでいく所存ですので、ご理解とご協力を、お願い申し上げます。

2020年3月7日
広島教区 司教 白浜 満
聖職者 一同

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